被扶養者の認定基準とは?
健康保険では、被保険者(本人)に扶養されている家族にも保険給付を行います。
扶養されている家族のことを「被扶養者」といい、被扶養者になるためには、
- 主として被保険者(本人)の収入によって生活していること
- 被扶養者となる人の年間収入が130万円(60歳以上または障害年金受給者は180万円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること
※税控除の年収の対象期間は1月から12月ですが、健保の被扶養者認定基準における年収は、今後の年間見込み額を随時算出して判断します。 - 3親等以内の親族であること
- 日本国内に住所を有すること(日本に住民票があること)
なお、続柄が配偶者・子以外の被扶養者の申請時には上記基準以外にも「主として被保険者により生計維持されていること」も満たすことが必要です。
注意
※後期高齢者医療制度の方は、被扶養者になれません。
※別居している場合は、対象者の年間収入が130万円(60歳以上または障害年金受給者は180万円)未満で、かつ、その額が、被保険者からの仕送り額より少ないこと。
※対象者に被保険者以外の生計維持関係が強い親族がいる場合には、その親族の収入も加味した判断基準を設けています。
認定基準
被扶養者として認められる範囲
被扶養者になれる家族の範囲は、三親等内の親族と決められています。また、同一世帯か否かにより条件が異なります。
同一世帯でなくてもよい人
配偶者(内縁を含む)・子・孫・兄姉弟妹・父母等直系尊属
同一世帯であることが条件の人
上記以外の三親等内の親族(義父母等)、被保険者の内縁の配偶者の父母・連れ子
「同一世帯」とは単なる同居ではありません。
「同一世帯」とは被保険者と住居および生計(家計)を共同にすることであり、 同じ住所に住んでいても生計を分けている場合(世帯分離)は、「別世帯」となります。
被扶養者の収入基準
同居の場合
- 対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害年金受給者は180万円未満)
- 対象者の年間収入が被保険者の収入の2分の1未満であること。
別居の場合
- 対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害年金受給者は180万円未満)
- 対象者の年間収入は被保険者の収入の2分の1未満であって、被保険者が毎月継続的に別居世帯の収入を上回る仕送りを行い、対象者の生活費のほとんどを主として負担していること。
収入範囲 | 内容 |
---|---|
給与収入 |
パート・アルバイト・内職の総収入額 (賞与含む、通勤交通費は除く) |
事業収入 | 農業・漁業・商業等、自家営業に基づく収入 |
継続的な不動産収入 | アパート経営等、土地や建物の貸し付けによって発生する収入 |
継続的な利子・配当収入 | 預貯金や公社債などの利子、株式の配当金 |
年金 | 厚生年金、国民年金、共済年金、船員保険年金、厚生年金基金等課税対象ではない遺族年金、障害年金、恩給、私的年金、個人年金等 |
雇用保険 | 失業給付金 |
休業補償 | 傷病手当金、出産手当金、休業(補償)給付 |
※その他、実質的に収入と認められるもの
※給与収入について「年収の壁支援強化パッケージ」への対応
健康保険の扶養認定は、対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害年金受給者は180万円未満)であることが条件です。
ただし、パート・アルバイトで働く方が人手不足等で、労働時間延長により一時的に収入が増えた場合は、通常ご提出いただく書類に加えて、被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書をご提出いただき、総合的に判断いたします。
これは、当面の対応であり、令和5年10月20日以降の審査に適用となります。
また、基本給が上がった場合や恒常的な手当が新設された場合等は認められません。
優先扶養義務
被保険者以外の優先扶養義務者が他にいないこと、 もしくは被保険者以外の優先扶養義務者がいる場合は、優先扶養義務者に扶養能力がなく被保険者が扶養せざるを得ない理由が必要です。
優先扶養義者の例
- 母の場合は、その配偶者である「父」
- 兄弟姉妹の場合は、親である「両親」
夫婦共働きの場合
- 年間収入(過去、現時点、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの)が多いほうの被扶養者とします。
- 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合、主として生計を維持する者の被扶養者とします。
生計維持関係
被保険者は、その家族を経済的に主として扶養していなければいけません。申請対象者世帯の収入より多い金額かつ、申請対象者がその送金で生活できる金額を毎月定期的に被保険者が仕送りする必要があります。ただし被保険者の単身赴任による別居や23歳以下の学生(全日制)が就学のために別居する場合などは仕送りは不要です。
仕送りの際は、銀行や郵便局等の公的機関を利用し、日付、金額、送金人、受取人が確認できる方法で仕送りしてください。 被扶養者がどんなに近隣にお住まいでも手渡しによる仕送りは認められません。 仕送り証明書(振込利用明細等)は廃棄せず2年間は大切に保管してください。
被扶養者の国内居住要件
- 日本国内に住所を有する者
原則として住民票の有無(住民基本台帳に住民登録されているか)によって判断されます。 - 日本国内に住所を有しないが日本国内に生活の基礎があると認められる者
これまで日本で生活しており、渡航目的に照らし、今後も再び日本で生活する可能性が高いと認められ、かつ渡航目的が就労ではない者の場合、日本に住所(住民票)がなくても例外として国内居住要件を満たしていると判断されます。
例外として認められる事由と確認書類の例
例外として認められる事由 | 確認書類の例 |
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①外国において留学をする学生 | ビザ、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し |
②外国に赴任する被保険者に同行する者 (原則、配偶者・子のみ) |
ビザ、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書等の写し |
③就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者 (観光、保養またはボランティア活動等) |
ビザ、ボランティア派遣機関の証明、ボランティアの参加同意書等の写し |
④被保険者の海外赴任中に出産・婚姻等で身分関係が生じた者であって②と同等と認められる者 | 出生や婚姻等を証明する書類等の写し |
※確認書類が外国語で作成されたものであるときは、その書類に翻訳者の署名がされた日本語の翻訳文を添付して下さい。
認定後の資格調査
被扶養者資格認定後必要が生じれば、定期的または随時被保険者に対して、必要書類等の提出を求めます。仕送り等の記録(証明書類)は、必ず2年間は保管してください。定期または随時の調査の結果、被扶養者資格がないと判定された場合は、被保険者に対しその旨通告し、被扶養者資格が失われたと判定された日に遡って削除します。ただし故意または悪意による虚偽の記載あるいは申し立てがあった場合は、被扶養者資格を付与した日に遡って削除します。また、当該期間にわたって発生した医療費の全額及びその他給付金を過去に遡及し返還しなくてはなりません。