ポリファーマシー通知サービス(服薬情報通知)
ポリファーマシーとは
ポリファーマシーとは「Poly(多くの)」+「Pharmacy(調剤)」の造語ですが、単に薬剤数が多いことではなく、薬剤が多いことにより、薬物有害事象のリスク増加や飲み間違い、残薬が発生するなどの問題につながる状態をいいます。また、不要な処方や過剰な薬の重複投与など、不適切な処方もポリファーマシーに含みます。
どんなときにポリファーマシーがおこる?
飲まれなかった薬も問題に
薬を多く服用することで体にさまざまな害が起こる可能性が高くなるわけですが、実は必要な薬が「飲まれない」可能性も高くなります。
一般的に、服用する薬の数が多いほど残薬(余った薬)が増えることが知られています。数が多いと飲み忘れてしまう薬があるかもしれませんし、多くの薬を飲むのを面倒に感じて勝手に減らしてしまう可能性も出てきます。しかし、飲まれなかった薬こそ、その人にとって必要だったということも考えられます。
また、飲まれていないことを認識していない医師が、薬の効果が出ていないと判断して、新たに薬を追加する可能性もあります。
多数の薬を服用することで薬の相互作用が起こり、副作用を引き起こしている薬剤の特定が難しくなるという難点もあります。
ポリファーマシーを防ぐには
- 「お薬手帳」は1冊にまとめましょう
- かかりつけ医師、かかりつけ薬局を持ちましょう
- 薬が余っているときは、医師・薬剤師に相談しましょう
- パナソニック健保のお薬相談コーナーやお薬のお知らせをご利用ください
パナソニック健保の取り組み
過剰な服用を防止、有害な組み合わせを是正することを目的に2021年1月より受診状況・服薬情報を記載した通知の送付をスタート
重複通知 効果検証
-
抽出条件
同月に同一成分の薬で2以上の医療機関から処方された方(処方日数14日以上)
医科・入院外または調剤の内服薬のみ -
実施期間
2021年1月~2023年2月 -
件数
1,991人
※表は右にスクロールができます。
判定結果 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 計 | 割合 | |
---|---|---|---|---|---|---|
解消(重複服薬が解消) | 475人 | 480人 | 546人 | 1,501人 | 82.4% |
83.3% |
改善あり(医療機関数が減少) | 2人 | 9人 | 5人 | 16人 | 0.9% | |
改善無し | 118人 | 89人 | 98人 | 305人 | 16.7% | |
評価不能(資格喪失、レセなし) | 42人 | 57人 | 70人 | 169人 | - |
【薬効分類別】
重複服薬者の解消・改善ありの割合
薬効分類 | 解消・改善率※ |
---|---|
催眠鎮静剤、抗不安薬 | 57.6% |
その他のアレルギー用剤 | 88.3% |
消化性潰瘍用剤 | 89.2% |
精神神経用剤 | 61.6% |
※通知対象者の服薬薬剤全体を対象とした改善率
多剤通知 効果検証
-
抽出条件
同月に2以上の医療機関を受診し、8種類(2回目は7種類)以上処方された方(処方日数14日以上)
医科・入院外または調剤の内服薬のみ -
実施期間
2021年6月~2022年8月 -
件数
4,932人
※表は右にスクロールができます。
判定結果 | 1回目 | 2回目 | 計 | 割合 | |
---|---|---|---|---|---|
解消(多剤服薬が解消) | 652人 | 1,139人 | 1,791人 | 37.9% |
60.8% |
改善あり(医薬品種類数が減少) | 396人 | 683人 | 1,079人 | 22.9% | |
改善無し | 665人 | 1,184人 | 1,849人 | 39.2% | |
評価不能(資格喪失、レセなし) | 63人 | 150人 | 213人 | - |
【薬効分類別】
多剤服薬者の解消・改善ありの割合
薬効分類 | 解消・改善率※ |
---|---|
消化性潰瘍用剤 | 63.5% |
高脂血症用剤 | 58.7% |
血圧降下剤 | 58.4% |
精神神経用剤 | 56.3% |
※通知対象者の服薬薬剤全体を対象とした改善率
通知を受け取った方の多くに行動変容がみられました
通知後の行動変容率
実施月 | 通知数 | 行動変容率 | |
---|---|---|---|
重複 1回目 | 2021年1月 | 637人 | 80.1% |
多剤 1回目 | 2021年6月 | 1,776人 | 61.2% |
重複 2回目 | 2022年2月 | 635人 | 84.6% |
多剤 2回目 | 2022年8月 | 3,156人 | 60.6% |
重複 3回目 | 2023年2月 | 719人 | 84.9% |
多剤 3回目 | 2023年7月 | 4,811人 | 66.0% |
通知を受け取った方からのご意見
- 通知は助かります
- 20代のころから片頭痛がひどく、痛み止めを飲み続けている。夏ごろに、忙しくまとめて薬を処方してもらった。自分で飲んでいる薬は把握しているので問題ない。ただ、今後も通知は送付してもいい。このようにお知らせしてもらえるのは助かる。
- 通知は非常にありがたい
- 8/22の午前に別の病院に変わった。その際に前日まで通っていた病院から新しい病院へ申し送りがあった。こういったお知らせ通知は非常にありがたいので、今後も送付してほしい。
- 今後も通知希望
- 9月に不足分を処方してもらったので、その兼ね合いで重複しているようでデータが上がってしまったのかもしれない。通知は非常に親切だと感じた。お知らせいただきありがとうございます。今後も通知希望。
- 問題ないと思っていました
- 自分でわかっていて問題ないと思っていた。医師には話していない。お知らせいただきありがとうございます。
一方でこんなご意見も
ございました
- 不安だから余分にもらっている
- 主治医は必要以上に処方してくれない
- 残薬のことは医師に言いづらい
- 自己判断で服薬している
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