診療科・部門

診療科のご紹介

血液内科

特色

血液内科は、血液の主な成分である白血球、赤血球、血小板(これらをまとめて血球と言います)、凝固因子、血漿タンパク(特に免疫グロブリン)の異常が関わる病気=血液疾患を診断し、治療する診療科です。血球は、骨髄にある造血細胞によって日々新しく造られており、白血球はリンパ球を中心としたリンパ系組織を全身に形成して、微生物の侵入やがん細胞の増殖を防いでいます。血液内科では、骨髄やリンパ系組織から生ずるがんである白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍などを中心として、そのほかさまざまな貧血や血小板の異常を診療しています。これらの病気は、免疫や凝固系の異常と深く結びついており、感染症を引き起こしたり、出血や血栓症をきたすなど、症状は全身の臓器・組織におよびます。これら全体を診断し、治療するのが我々の仕事です。

当科の治療方針

当院は日本血液学会認定研修施設であり、完全無菌室2床、準無菌室3床をそなえています。学会などが推奨するガイドラインや最新の知見をもとに、十分なご説明とインフォームド・コンセントをおこない、おのおのの患者様とご家族様にとって最善の治療をともに考え、ご提供するように努めております。ご高齢の患者様や、併存合併疾患や社会的状況のために治療が困難な状態の患者様にたいしても、おのおののかたに適した治療を考えてまいります。血液内科医、看護師、薬剤師、リハビリテーション技師、社会福祉士、栄養管理士、緩和医療チーム、医療事務など院内でのさまざまな職種が協力し合い、チームでの医療を行うことはもちろんのこと、近隣の登録医の先生や連携施設病院とも協力し、患者様とご家族様が安心して療養されるようにと努めております。
また、多施設共同臨床研究に積極的に参加することによって、本邦における最新の医療を提供し、さらには新しい知見を作り出す一助となり、患者様とこれからの医療に貢献することを心がけています。

各疾患の最近の変遷と治療
  1. 急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病
    若年の患者様では、標準的な治療プロトコールに従い、強力な寛解導入療法および地固め療法を行います。高リスクで同種造血幹細胞移植の適応があると考えられる患者様については、移植施設との早期からの連携のもと、寛解導入療法をすすめていきます。高齢化やがんサバイバーの増加などにより、近年増加傾向にある二次性白血病(骨髄異形成症候群などからの移行例、がん化学療法・放射線治療後の治療関連白血病)や再発例などの難治症例についても積極的に取り組み、近年次々と新たに開発される分子標的薬や抗体薬を使用できる体制を整えています。
    ご高齢の患者様については、年齢、併存合併疾患や身体的、社会的状況などにより、治療の選択肢(強力な寛解導入療法や移植治療、少量持続化学療法、緩和支持療法など)はより多様なものになると考えています。個々の患者さまに適合した治療を行うよう努めています。
  2. 骨髄異形成症候群・骨髄増殖性腫瘍
    多様な疾患群であり、骨髄穿刺・骨髄生検を実施し、染色体検査や遺伝子検査、凝固系、免疫学的検査を実施して詳しく病態診断を行います。それらにもとづいて病態や予後を予測し、近年広がりを見せている様々な治療法:赤血球造血刺激因子製剤、免疫調節薬、DNAメチル化阻害薬、JAK阻害薬、少量化学療法、造血幹細胞移植のなかから、おのおのの患者様に最適と考えられるものを選択し、実施します。高齢の方に多い疾患ですが、高齢化と治療法の進歩により、長期にわたる継続的治療を要する患者様が増加しており、疾患関連合併症への対応を含めて、総合的な診療を目指します。
  3. 悪性リンパ腫
    症例数はもっとも多く、血液悪性疾患の診療の中心となる疾患群です。進行が緩やかなものから急激なものまで、多種多様な病態のものが含まれるため、初診診断と初期治療の方針が極めて重要な疾患です。病理学的検討を中心とする治療前検査を可能な限り迅速かつ詳細に行い、適切な治療プロトコールを選択します。また近年、新たな知見が積み重ねられている発症に至る免疫学、ウイルス学、加齢医学的背景、さらに環境因子などに注目しつつ、診療を行うように努めております。抗体薬や免疫調整剤、またその他の新規薬剤など、さまざまな治療薬を積極的に取り入れるようにしています。高リスク例や再発例に対しては、自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行い、難治例については連携施設との協力のもと、同種造血幹細胞移植やCAR-T療法も検討しています。
  4. 多発性骨髄腫
    古典的抗がん剤、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗体薬の組み合わせを、患者様の年齢や全身状態によって選択し、基本的には「より深い寛解を得ること」を、患者様によっては「より長期の寛解を維持すること」を目標に、治療を行います。60歳半ば前後までの患者様では、自己末梢血幹細胞移植を組み込んだ寛解導入療法、続いて地固め・寛解維持療法を行います。高齢や合併症により自家移植の対象になりにくい患者様に対しては、上記薬剤の組み合わせによる寛解導入に続いて、維持療法を実施し、多くの患者様で良好な経過を得ています。本疾患もまた広い年齢層にまたがり病態はきわめて多様であり、年齢や生活背景も治療の選択に大きな影響を及ぼします。治療の選択肢が飛躍的に広がった中で、個々の患者様の病態、背景を検討し、最適な治療法を選択できるよう努めています。
  5. 免疫の異常に関連した血球減少症
    @再生不良性貧血
    骨髄にある造血幹細胞が障害されることによって、全ての血球が減少する(汎血球減少)病気です。様々な原因によって起こりますが、多くの場合は自身のリンパ球による造血幹細胞の障害が原因と考えられ、免疫抑制療法が治療の中心です。重症度によって症状の深刻さに幅があり、重症度と年齢に応じて、治療ガイドラインに従って、免疫抑制剤やトロンボポエチン受容体作動薬等を組み合わせた治療を行い、移植適応のある重症例については移植施設との速やかな連携を行います。
    A免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病)
    免疫学的機序によって、主として脾臓での血小板破壊が亢進することによっておこる病気です。ヘリコバクター・ピロリ感染が原因となっている場合があり、感染が確認されればピロリ菌の除菌治療をまず行います。それ以外の場合、血小板減少が軽度で症状が軽微であれば経過観察、高度で治療の適応があれば、ステロイド治療を行い、ステロイド治療に抵抗性がみられる場合は、トロンボポエチン受容体作動薬を用いた治療を行います。症例によっては脾臓の摘出も考慮されます。
    B自己免疫性溶血性貧血
    自身の赤血球に対する免疫反応が生じ、多くの場合赤血球に抗体が結合することで脾臓での赤血球破壊が亢進することによっておこる病気です。膠原病や悪性リンパ腫の部分症状としておこることがあり、そのような背景疾患がないかをまず検査します。ステロイド治療が第一選択ですが、ステロイドに抵抗性の場合は免疫抑制剤等による治療を検討します。
認定情報

日本血液学会認定研修施設

骨髄移植推進財団非血縁者間末梢血幹細胞採取施設

日本臨床腫瘍学会認定研修施設

スタッフ紹介
メディカルスタッフ

臨床検査技師(血液担当)  7人

薬剤師(化学療法担当)    6人

施設の紹介

自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法や急性白血病など、高度の骨髄抑制を伴う治療は写真のような病室を利用して行っています。

移植病室(無菌室)A

外来での化学療法は専任看護師、専任薬剤師、当番医師が担当する外来化学療法室で施行します。
(詳細は外来化学療法室のページをご覧ください)

外来化学療法室