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診療科のご紹介

眼科

特色

眼科の代表的疾患である白内障、緑内障、網膜剥離や最近増加している糖尿病網膜症、さらには小児の屈折異常、斜視、弱視など、幅広い疾患の治療を行っています。網膜疾患に対する硝子体手術の設備も整いました。手術は白内障手術が最も多く、斜視手術も積極的に手がけているのが特色です。また、診断機器ではスペクトラルドメインOCT(光干渉断層計、ハイデルベルグ・スペクトラリス)を導入しました。より精度の高い緑内障、眼底疾患の診療に威力を発揮しています。

私たち眼科チームは患者さまによく見える、明るくなったと喜んでいただけるように努力します。

当科で多く治療している疾患の解説と治療成績
白内障の解説と治療成績

白内障とは

白内障は眼の中のレンズ(水晶体)がにごって視機能が低下する疾患です【図1】。

原因の大半は老化によるものですが、アトピー性皮膚炎、糖尿病、眼内の炎症、眼のけが、薬物(ステロイドなど)でもおこります。初期には、なんとなくかすんでみにくい、まぶしさがつよい、などの症状で始まります。進行すると視力が低下してきます【図2】。

水晶体全体が白く濁ると、ほとんど見えなくなってしまいます【図3】。

【図1】

【図2】

【図3】

白内障の治療は

初期には点眼薬などで進行を遅らせるための治療をします。低下した視力を回復するためには白内障手術(水晶体再建術)を受けていただきます。手術では濁った水晶体の中身だけを砕いて吸い出し、残したカプセルの中に眼内レンズ(人工水晶体)を入れるようにします【図4〜図7】。

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

当科では患者さまの眼に対する負担ができるだけ少なくなるように、小さな切開から手術を行うように工夫をしています。手術は局所麻酔で15〜30分程度です。手術中痛くてつらいということは決してありませんから安心して受けていただけます。入院期間は片眼で3日、両眼で8日が基本ですが、患者さまの全身状態や療養の環境が一定の条件を満たせば、さらに短期の入院も可能です。個々の患者さまの治療方針は病状によって異なりますので、担当医にお問い合わせください。

最近の手術成績

2007年には当科で730件の白内障手術を施行しました。(緑内障同時手術を含む)。手術を受けられた方の平均年齢は72.5歳で、70歳代が最も多く、最年少の方は11歳、最高齢の方は97歳でした【図8】。

手術を受けられた患者さまの92%が、術前より2段階以上視力が改善しました。術前の視力の平均は0.25、術後には0.79でした。白内障以外の病気をお持ちでない方にかぎれば、社会生活がほぼ障害なく送ることができる0.7以上の視力を得た方が81.4%、正常の視力とされる1.0以上の視力を得た方は54.5%になります。術後視力と年齢の関係を図に示します【図9】。

年齢が若い方は1.0以上の視力が回復することが多いですが、高齢になられるほど視力の値は悪くなってきます。白内障以外にも眼に老化の変化があるためです。なお、視力はすべてめがねをかけてはかった視力(矯正視力)です。

【図8】

【図9】

手術合併症は6件(0.8%)発生しましたが、手術中に適切な対応を行い、再手術が必要になることはありませんでした。失明につながる重大な合併症に、術後眼内感染(ばい菌によって眼が化膿する)、駆逐性出血(手術中に眼内に大出血が起こる)が他の施設から報告されています。当科では現職の部長が赴任した2003年4月以降、このような重大な合併症はおこっていません。一般に最大の視力を得るためには、術後も手元、遠方とも眼鏡を使用する必要があります。最近、“遠近両用”の眼内レンズが発売されていますが、まだ一般的ではなく、当科では採用しておりません。なお術後期待できる視力は病状によって異なりますので、担当医にお問い合わせください。

術後の経過

手術当日はガーゼで眼帯をしますので手術をした眼を使うことはできませんが、もう一方の眼では普段通り見ることができます。術翌日からは網目状の保護眼帯だけになりますので、網目越しに手術した眼を使ってものを見ることができます。退院してからも1〜2週間は寝るときは保護眼帯をしましょう。洗顔や洗髪は術後1〜2週から普通にできます。眼球を強く押さえたり、打撲したりすることは長期にわたりさけなければいけません。目薬は術後3〜6か月程度必要です。

術後に視力が再び悪くなる最大の原因は後発白内障です。眼内レンズを支えている水晶体のカプセルが再び濁ってくるためにおこります【図10】。

術後早期におこることもあります。治療はレーザー手術(YAGレーザー後嚢切開術)でにごりを取ります。眼球を切りひらくことなく治療ができますので心配いりません【図11】。
もちろん入院の必要もありません。これ以外にも術後に病状が変化することがありますので、必ず担当医の指示通り、定期検査を受けましょう。

【図10】

【図11】

斜視の解説

斜視とは

両眼の視線がそろわない状態で、眼球が上下や左右にずれる病気です。眼の位置がずれると、両眼で正しくものを見ることができなくなります。このために視力の発達が妨げられたり(斜視弱視)、両眼でものを見て立体感をつかむ機能が弱くなったりします(両眼視機能異常)。

また外見上、眼のずれが目立つことは学校生活や社会生活に支障をきたすことがあります。斜視は、斜視以外の眼の病気が原因で起こることもありますから、検査を行って他の病気がないかどうか確認しておく必要があります。

めがねでなおる斜視

斜視の中には高度の遠視や調節の異常でおこるものもあり、手術をせずに眼鏡で治療します【図15】。

治療方針や期待できる治療効果は病状によって異なりますので、詳しくは担当医にお尋ねください。

【図15】

緑内障の解説と治療成績

緑内障とは

緑内障は視神経が障害される病気の一つで、視野が狭くなり、最終的には視力も低下します。ひとたび神経が障害されておこった視機能の低下は、治療で取り戻すことができないため、進行するとやっかいな病気です。緑内障には多くの種類の病型があり、病気の程度も患者さまによって異なります。

緑内障の治療

治療の基本は眼圧(眼の内圧)を下げることが主になります。この目的で目薬、レーザー手術、入院して眼球を切開して行う手術など様々な手段を用います。当院では、的確な診断をおこなって、患者さまの病状、年齢、社会的環境などを総合的に判断して治療方針を決めています。

緑内障の手術

点眼薬で治療効果が不十分の方には、手術を考慮します。手術にはレーザー手術と、眼球を切開する手術があります。

レーザー手術

治療用のコンタクトレンズを装着して、眼内の組織にレーザー光を照射します。刃物で眼球を切開しないので出血や感染のおそれはありません。患者さんは座ったまま5〜10分間、機械のあご台にお顔をのせておくだけです【図16】。

通常は外来で施行可能で入院の必要もありません。麻酔は目薬のみで痛みもありませんし、眼に負担の少ない治療です。レーザー手術の方法、適応や期待される効果は病状によって異なりますので、担当医にご相談ください。

【図16】

  1. レーザー虹彩切開術【図17】

閉塞隅角緑内障に対するレーザー治療です。虹彩(茶目)の周辺部にレーザー照射をして小さな穴をあけ、眼房水のバイパス水路をつくります。特に急性の緑内障発作の患者さんには急いで行う必要がある必須の治療です。

【図17】

  1. レーザー線維柱体形成術【図18】

隅角繊維柱体という虹彩(茶目)と角膜(黒目)の境目にある組織にレーザー照射をします。繊維柱体は網目状の構造をした組織で、レーザーで網目を開いて眼房水の流れをよくします。当科では2008年1月から選択的レーザー線維柱体形成術(SLT)が可能な、最新鋭のレーザー機材を導入しました【図19】。

従来の機材では治療によって隅角の構造が変化してしまうために、他の治療法の効果が悪くなるなどの弊害がありましたが、SLTではこのようなことはありません。繰り返してレーザー治療をすることが可能ですし、他の治療法との併用も有効です。治療効果があらわれる方は7割くらいですが、合併症はほとんどなく、きわめて安全な治療です。めぐすりでは治療効果が不十分、副作用などで使用しにくい、よく目薬をさし忘れるというような方には最適です。

【図18】

【図19】

切開して行う緑内障手術

目薬を用いた治療、レーザー手術などが十分にきかないときは、入院して切開手術が必要です。当科では2004年から2007年の間に40眼の緑内障手術を行いました。手術前には平均26mmHgであった眼圧は術後には平均14mmHgまで下げることができました【図20】。

必要な緑内障の目薬の種類も平均2.6種類から0.8種類に減らすことができました。残念ながら緑内障で悪化した視野や視力は現在の医学では手術を持ってしても取り戻すことはできません。また眼圧をよく下げておいても進行するタイプの緑内障もあります。それでも、眼圧が低い方が進行が遅くなることが知られているので、できる限り眼圧を下げる治療をするのです。治療方針や期待できる治療効果は病状によって異なりますので、詳しくは担当医にお尋ねください。

【図20】

光干渉断層計(OCT)を導入

2011年度にスペクトラルドメインOCT(光干渉断層計、ハイデルベルグ・スペクトラリス)を導入しました。従来、診断が難しかった黄斑変性症、黄斑円孔、網膜上膜形成症などの病状が手にとるようにわかります。患者さまにも所見や治療の成果をわかりやすく見ていただけます。また緑内障診療では、緑内障で傷んだ網膜神経線維層の厚さを測ることができ、診断の精度が向上します。まぶしさもなく、短時間で可能な検査です。

視力に大切な黄斑部網膜の組織が、地層の様な断面図として示されています。網膜の厚さを自動で測定してカラー表示することもできます。

認定情報

日本眼科学会専門医制度研修施設認定

スタッフ紹介